Comicマンガ紹介

リンドバーグ:空飛ぶネズミの大冒険 (原著:トーベン クールマン、訳:金原瑞人) 

リンドバーグ

この絵本は「ドイツ」生まれの作者トーベン クールマンが大学の卒業制作として製作したものです。タイトルと副題からも連想される通り、かのチャールズ・オーガスタス・リンドバーグをモチーフにして「小さなネズミが何度失敗してもメゲずに努力を続け、飛行機を作りあげ、ヨーロッパからアメリカへの大西洋横断飛行に成功して仲間に再会する」絵本です。

緻密で達者なペンタッチと品のいい色使いの絵と、わくわく・どきどきのストーリーを素直に楽しめる作品なのですが、大人向けに少し「ネタバレ」します。

史実のリンドバーグは、
1927NYからパリへの人類初の大西洋無着陸飛行に成功しました。逆方向です、何故?

この絵本の舞台は、第一次世界大戦(1918終戦)から第二次世界大戦(1939開戦)の間のドイツです。「ネズミの大量失踪」「ネコやフクロウたちの鋭い監視の目」「アメリカへの逃亡」など、当時のナチスによるユダヤ人弾圧を彷彿させる状況なのです。

でも実際、リンドバーグ本人(アメリカの軍人)は、当時ドイツの政策に対する絶対的支持者でした。とても皮肉な史実ですね。