Comicマンガ紹介

月影ベイベ (作:小玉ユキ) 

月影ベイベ

旧 八尾町(現 富山市)を舞台にした恋物語です。全篇を通して八尾の伝統芸能「おわら風の盆」が丁寧に描かれています。

祭りの傍らで、登場人物たち(蛍子、光、繭子、円)たちの様々な思いが錯綜します。たとえ一途に惹かれ恋しても、必ずしも報われるものではないから、悩み苦しみ、真摯に向き合い、一生懸命になる。ものすごく共感してしまいます。打算なく人を好きになるって、素敵です。憧れます。

すっきりとした絵柄故に、ちょっとした表情やしぐさの描写で、喜びや悲しみ、苦悩が伝わってきます。また、登場人物の心情を、小道具(笠や鈴)で間接的に描写するのが抜群に上手で、ぐっときます。

月光の街並みの中…静かで抒情的なラストシーン。幼い恋物語の隣で、切ないもうひとつの恋が成就します。「戯れやと思って・・・・唄ってやってくれんか」の台詞、表題の意味が分かり、号泣でした。