Comicマンガ紹介

ちいさこの庭 (作:小玉ユキ) 

ちいさこの庭

「ちいさこの庭」このタイトルを初めてみたとき、どこで切っても意味が分かりませんでした。アタマの中「?」のまま読み始めてみると、物語には〝ちいさこ〟という小人のような妖精が出てきました。

手のひらに収まる身の丈で、アイヌかコロボックルのようなエスニックな装束に身を包んだこの妖精は、誰にでも見える訳ではなく、見える人でも「とあるきっかけ」で見えなくなってしまいます。

「見えなくなる」きっかけは、誰の人生においても、自然な出来事です。ただその喪失は、悲喜こもごもなのです。全5編の物語を読み進めると、自然に涙が流れ落ちます。不思議な物語です。

「坂道のアポロン」やクリニックの本棚にもある「月影ベイベ」など、小玉ユキさんの作品は、細やかな感情が丁寧に描かれていてどれも素敵です。ぜひ読んで頂きたい1冊です。