あかいてぶくろ (著:林木林、絵:岡田 千晶)
「暖冬」が当たり前になって、手袋を身に着ける機会がすっかり減った気がします。この絵本を読んで、両手を紐で繋いだ母手編みのグレーの手袋を思い出しました。細く柔らかいアンゴラウールで編まれた手袋は、濡れたらお仕舞いなのですが、お気に入りで3シーズン愛用しました。サイズが合わなくなっても捨てられず、大人になるまでタンスの肥やしになっていました。最後は母に見つかり、笑顔で捨てられたのですが(笑)。
この手袋の網目は、アラン模様といってアイルランドの更に西にあるアラン諸島で誕生したものです。歴史は短いのですが、紋様は編み手それぞれが「自分で工夫して色々な編み柄を編んでいる」せいで、100種類以上もあります。この絵本の「あかいてぶくろ」は、「ダブルケーブル」という紋様で編み手の「幸運と安全」願う気持ちを表しています。
この絵本、たくさん一面の雪景色が描かれているのに不思議と寒々しく感じません。片手袋を失くしたちびちゃんも、迷子になった片手袋も、幸せだからだと思います。
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