Picture Books絵本紹介

14ひきのおつきみ (作:いわむらかずお) 

14ひきのおつきみ

いわむらかずおさんの「14ひきのシリーズ」は、今年、刊行40周年を迎えました。1983年刊行の『14ひきのひっこし』『14ひきのあさごはん』から2007年刊行の『14ひきのもちつき』までの全12作品は、秋田恵美さんの『ぐりとぐら』シリーズとならんで日本の代表的なシリーズ絵本です。

おじいちゃんとおばあちゃん、おとうさんとおかあさん、そして10ひきの兄弟たち、3世代あわせて14ひきの大家族が雑木林の中で過ごす何気ない日常が描かれています。この「大家族」というモチーフは、作者が6人兄弟で育ち、5人のお子さんを育てた日常なのだと思います。戦時中、お兄さんと2人で親元から離れ、秋田の祖父母の下に2年間疎開していた寂しい思い出や、戦後直後の日本中が貧しかった日々の中に作者が感じた家族の温かさや安らぎが「14ひきのシリーズ」の作品から伝わってきます。

この絵は、『あ、おいもだ』という「14ひきのシリーズ」構想段階で描かれた試作絵です。大きなお芋を持ち帰ったお父さんを家族が喜んで迎えるという場面です。あたたかい絵で大好きです。